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激動のなかで迎えた元旦は朝日新聞の「オピニオン」における反格差運動家カレ・ラースン氏の紹介記事から始まった。氏の主張「私は99%の1人だ!」は格差社会を明確に示す表現であり、若者達が社会の矛盾から開放を求める叫び声である。全資産額の50%以上を5%の人が保有しているアメリカでは「失敗者は自助努力の不足による」という考え方から、病気の責任は自分で医療費を払うことによって全うされるべきだと考える国民性があるようだ。
失敗者は自助努力の不足による、という考え方からはアメリカに公的医療保険制度が作られることが無い理由だと言われている。しかし、この根底には貧困があり、それに基づく格差が生じている。
アメリカは非福祉国家であると言うが、格差に基づく貧困が国民から是認されているわけではない。特に若者の間から大きな社会問題として解決を求める主張が、カレ氏の運動を支持する流れをつくり、世界に広がったということだろう。彼らは「ウオール街こそ格差社会の元凶」とし『ウオール街を占拠しよう』と経済的格差の解消を呼びかけた。占拠の手法は1994年フランスにおいて、貧困層が新自由主義政策に対抗して、富の再分配を求め公共施設を「占拠」した運動に類似している。これに対し国は「占拠は刑法に違反しない」との判断を下した。しかし、アメリカでの「占拠」は警察により排除された。
OECDの調査報告によると日本の貧困率の高さがアメリカの17%に次いで第3位の15%であり、このままだと日本がアメリカを抜いて世界一になるだろうと警告を受けていたそうだ。
なぜ日本がこの様な貧困国になったのか。その理由は不況による失業者の増加とそれに伴う非正規労働者の増加だと言われており、その数は労働者の約1/3にあたる。わが国の将来を担う若者の就業問題は深刻で勤労世代の貧困率はアメリカについで第2位であり若者はフリーター、ニート(NEDT)、ワーキングプアと落ちていく。この背後には国の無策があり、最低賃金は先進国中最低で生活保護基準額より低いと言う。
どの社会にも格差は存在し、この解決に向けての合意を得ることは容易ではない。格差のない新しい社会は、最低限度の生活をする権利を保障すると共に多様な競争的価値が存在する自由な社会でなければならない。「格差社会」とは格差拡大による「貧困化社会」である。医師、公務員、会社員、等どんな職種にも固有の価値観と競争的価値があり、それぞれ相応の生活水準のような優劣が存在する。更に、各職種でそれぞれに優れていれば、他領域の多くの人が認め、相応な生活水準と尊敬を集めることも出来る。このように新しい社会は複数の競争的価値と多様性を持ち且つ平等な社会であるという。貧困を最低賃金、生活保護のようなセーフティネットで救済する仕組みは一次的にはやむを得ないが、長期的にはモラルハザードが起きて、どっぷりとネットにはまり込んでしまうと労働意欲を低下させかねない。
格差是正策の基本は教育、社会保障、雇用の分野にあるという。労働市場における雇用を創出、保護する労働法制の充実、少子高齢化のもとでは雇用や社会保障の制度の充実等を着実に進めるべきである。これは貴重な人資源を活用することであり、人口の減少化に歯止めをかけることになり、国力の低下を防ぐことになる。貧困の元凶と言われる政府も企業も日本の内部崩壊を防ぎ明るい未来を次世代に引き次いで戴きたい。
参考資料
▽朝日新聞2012年1月1日 「カオスの深淵」▽金子 勝 他 格差と貧困が分かる20講(明石書店) ▽橘木俊詔 格差社会(岩波新書)▽橘木俊詔 日本の経済格差(岩波新書)▽湯浅 誠 反貧困(岩波新書)
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