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2002年12月15日号 
ミラー片手に、歯科医師の本音
「保健政策と医療保険制度の融合」
デンタルコメンテーター鞍立常行(新潟県小千谷市開業)
 今回の健康増進法の制定における予算の実行で、今、日本の歯科医療が変わろうとしています。いや、これを機に変えなければいけません。
 年間650億円の予算規模、現在、歯科は総医療費の割合が8.5%ですので、単純計算しても55億円、歯科医師数で割れば1人10万円にも満たない金額です。予算規模だけ見れば、これが医療を変えるとは思われません。しかし、注目するのは予算の額ではありません。健康増進法がもつ「医療は病を治すことだけだったものが、病にさせないことも医療である」という医療の定義の変更を政府が法律で認め、それを実現するために予算をつけ、そして21世紀における健康を保持するためのテーゼである「自分自身で自分の健康は守る」それを政策としても明確に打ち出したその意義が重要です。
 政府の実際は、医療費削減という観点だけでこれを推し進めようとしているのかもしれません。しかし、医療の疾病構造が、感染症から生活習慣病にその中心が移り、それに対する予防の効果が大きいことがEBMにおいても立証され、それと共に、新しい定義をも含めた進歩する医療が、現行の医療政策、医療制度に合致せず、そのパラダイムシフトが求められている今、この考えを推し進める大きなチャンスが訪れてきたと我々は捉えるべきです。
 これを実のあるものに実現させるポイントは、従来独自の展開に終始していた医療・保健政策と医療制度を、どのようにして融合させることが出来るか、また、これを推し進めることによって、国民、患者サイド、そして、医療供給側も経済的観点も含めて実利のある総合的な展望を拓くことが出来るのか、ここにあります。こんな経済状況の現在、自らの身体に対して、生活習慣病を中心とした疾患を個人が自己管理を徹底することによって、経済的にもメリットを生む夫々が融合した政策、制度へと変革することがなければ、結果的に、個人のこれに対する意欲は、その予算規模程度の動きで止まります。
 歯科領域においては、既に、8020という具体的な数値的目標を国民の前に提示し、その実現に向けてスタートを切っています。そして、一部実行に移りつつある予防中心の歯科医療を、政策、制度によって更に推し進めれば、医科よりも先んじて、健康21に謳ったその目標値を実現することは充分に可能であり、その結果が、歯科が医療界全体をリードすることも決して夢物語ではありません。
 しかし今まで、それが出来なかった、推し進められなったのは、現在の低迷する我々の経済環境が、それを阻んでいたのです。再建治療としてインプラントが出来ることも、治療として、そして医院経営、経済的にも重要です。それと共にこれからは、予防に日常の臨床の多くにエネルギーを費やし、それが医院経営にもプラスになる流れを創れる可能性が見えてきました。
 現代の歯科医療の潮流に則した、融合した歯科医療政策、医療制度を構築が、真の医療制度改革が進められているこの時期に、健康増進法のスタートで、それを切り拓くことが出来るものと私は信じます。
 具体的な例を挙げれば、既に、日歯の執行部の中でも意見がある、政策としての検診を受けた有無で、制度としての一部負担金、給付での差別をつけることなどは、議論する現実のテーマです。実施母体に8020財団を利して、経済的な活動をすることも検討課題に成りえると思います。そして、まず、需給問題に加え、日歯にこのプロジェクトを作ることも私は提案します。
 この健康増進法の成否は、残存歯数が増えるだけではありません。歯科医師の可処分所得がどれだけ増えたかどうか、それも大きな指標です。
 
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