ニーズにこたえ増えつつある夜間診療 鹿児島
日曜日を診療日にしたり、診療時間を夜まで延ばしたりする診療所や歯科医院が、鹿児島市を中心に増えている。共働きの家庭やサラリーマンなどに好評。開業医の増加や、少子化問題などに直面する医療機関の”患者サービス”として浸透しつつある。
夜も9時近くになると、人通りの少なくなる鹿児島市の桜ケ丘団地。2年前に開業した歯科診療所のガラス張りの待合室は、まだ明るい照明が入り、数人の患者が診療を待っている。
「急に子供が痛がり出して。今から連れていっていいでしょうか」。受け付けを締め切る直前、電話がかかってきた。十分ほどして、女の子を抱えた母親が到着した。この日の最後に予約を入れていた宇宿町の自営業男性(43)は「昼間は仕事の都合がつかなかったりで、長続きしなかった。夜は通院しやすい」と話した。
この診療所の院長は大学を卒業後、福岡で勤務医をしていた。福岡は歯科医が多く、開業医間の”競争”が激しい。そこでの経験から、開業時から夜の診療を実施した。「団地は昼間働いている人が圧倒的。患者の通院のしやすさを考えれば、夜の診療は当然の経営努力と思った。想像より患者のニーズはあった」と同院長。夕方以降は会社や学校帰りの患者がほとんどを占める。
鹿児島市のベッドタウン、吉田町牟礼岡団地にある医院は94年の開業以来、午前9時から正午までと午後5時から8時までに診療時間を設定。午前と夜の患者数はほぼ同数という。
長年、公立病院に勤務していたある小児科医は昨年春、同市和田で開業した。日曜日はもちろん、平日も夜の8時まで診療を受け付けている。
最も患者が多いのは午後6時から8時にかけて。診療が午後9時半ぐらいまでずれ込むことも多い。南薩方面から患者が駆け込んでくることもある。日曜日は父親が子供を連れてくるケースがおよそ半分を占める。待合室にある意見箱には「共働きの私たちには日曜診察はとてもありがたい」「日曜診療頑張って続けて」などの声が入っていた。
厚生省の99年の調査によると、鹿児島県内の1332の一般診療所のうち、日曜の午前、午後、午後6時以降のいずれかの時間帯に診療しているのは延べ91カ所。前回調査(96年)の61カ所に比べて約1.5倍に増えた。歯科診療所も同様に29カ所で前回の約2倍。
月曜から金曜の夜の診療(午後6時以降)は、曜日によってばらつきがあるが、平均で約4%にあたる64カ所の一般診療所が実施。全国では大都市圏で多く、全国平均では約17%が午後6時以降も診療している。
鹿児島市の出版社ファストラル・ハビタが同市郡の約800カ所の医療機関の診療時間などをまとめた「かごしま病院ガイド」によると、夜間や日曜の診療は小児科、皮膚科、眼科で特に増えている。
スーパーなど小売業や銀行などさまざまな分野で、休日や深夜の営業が一般化してきたのと同様の傾向が、医療機関にも広がりつつあるようだ。
鹿児島市西田で先代から30年以上、午後9時までの診療を続ける小児科医は「24時間いつでも診察してほしい、というのが患者の理想。現実的にそれは難しいが、夜の診療は患者の安心にもなる」とみる。
患者の権利法をつくる会(福岡市)の小林洋二事務局長は「医療機関の経営努力は、患者にとって非常に好ましい。患者はサービス面だけでなく、医療の質や医者の姿勢などをみて、多くの判断材料のなかから、自分にあった医療機関を選んでほしい」とアドバイスしている。
「アクロス福岡健康づくりセミナー」 福岡
「歯と口の健康について」をテーマにした「アクロス福岡健康づくりセミナー」(県医師会、歯科医師会など主催)が19日、福岡市中央区天神のアクロス福岡であり、約30人が参加した。
志免町の歯科医院長で県歯科医師会学術部員の住吉輝雄さん(43)が講演。集団検診や訪問診療などの活動をスライドで紹介し「子どもは、奥歯でしっかりかむ食事を」「自分の歯で食べ続けるには、特に40代からの歯周病予防が重要」と、年代別の注意点を挙げた。
県歯科医師会によると、歯周病の治療で、肥満や糖尿病など、他の病気が改善することもあるという。同会は「口内の健康は全身の健康。異常に気づいたら、すぐ治療を心がけて」と呼びかけている。
植田歯科商会 破産宣告 東京
植田歯科商会(台東区東上野2—14—4、資本金1000万円、植田清社長)は、東京地裁に自己破産を申し立て12月8日破産宣告を受けた。破産管財人は深山雅也弁護士。負債は負債者279人に対し5億3260万円。
ライオン 注目材料
「初期虫歯の診断技術」の開発。従来、虫歯に一度なると元に戻すことは出来ず、治療しても再発するケースが多かった。しかし、同社では再石灰化による自己修復が可能という視点から研究を推進。世界で初めて赤外線カメラを活用した初期虫歯の検診システムを開発した。歯科医の視診とは違って、客観的、かつ定量的でビジュアルなカラー表示による診断が可能になるため、期待は大きい。
名古屋大学口腔外科医師中心の医療チーム ガーナで難病治療
名古屋大学の医師とベンチャー企業の社員らでつくる医療チームが来年一月、アフリカのガーナでハイテク技術を駆使した培養皮膚を使い、皮膚がただれる感染性の難病を治療する。同チームの関係者は「少しでもお役に立てば」と治療の効果に期待している。
医療チームは名古屋大の上田実教授ら口腔外科などの医師を中心に、培養皮膚のベンチャー企業、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J−TEC、愛知県蒲郡市)の社員も加わり、8人程度になる。1月中旬から約2週間現地に滞在し、首都アクラの病院などで10−20人の患者を診る予定だ。
問題の難病はブルーリー潰瘍と呼ばれる感染症。病原菌が体内に侵入して皮下組織を壊死させるため、皮膚に小さな潰瘍ができ、次第に大きくなって全身に広がる。西アフリカなどで流行しており、ガーナでは子どもを中心に6000人以上の患者がいるといわれる。
感染源や感染経路が解明されていないため治療薬やワクチンもない。現在は潰瘍を切除し、他の部分の皮膚を移植する外科的治療が主体。
医療チームは約5ミリ角の皮膚切片から表皮細胞だけを分離し、はがき半分の大きさにまで育てた皮膚を持ち込み、潰瘍を切除しないで移植する。培養皮膚が患部を覆うため治癒を早める効果があるという。
世界保健機関(WHO)を通じてブルーリー潰瘍の対策を支援している日本財団(曽野綾子会長)が、上田教授に要請した。
上田教授は「将来は培養皮膚の技術を現地に伝えることも考えている。国際貢献の新しいスタイルを確立したい」と意欲を見せている。
不正診療報酬請求 返還金額過去2番目
不適切な診療報酬請求に対する指導・監査の結果、1999年度に医療機関や医師などから返還された金額が65億1947万円と過去2番目の高さにのぼったことが18日、厚生省のまとめで明らかになった。
また、医科では医療機関への「個別指導」が前年度より69件増え1429件となる一方で、高点数の医療機関に一律に行う「集団的個別指導」は426件減って4658件となり、98年度に厚生省が「個別指導」を優先する方針に切り換えた影響もうかがえる。
指導・監査の結果、保険医療機関などの指定を取り消したケースをみても、保険者や患者などの通報をきっかけとするものが過半数を占めており、厚生省は、保険者などの通報を機とする個別的な指導・監査が徐々に浸透してきている傾向があると指摘している。
厚生省が同日発表した「平成11年度(99年度)における保険医療機関等の指導及び監査の実施状況」によると、同年度に「監査」を行った医療機関・薬局は64件、医師・薬剤師は86人で、前年度よりそれぞれ14件、18人増加した。
「個別指導」を行った医療機関・薬局は前年度比253件増の3137件、医師・薬剤師は2333人増の9739人と、こちらも増加傾向にあった。新たに保険医療機関・保険医の指定を受けたものに教育的な指導を行う「新規指定個別指導」の実施数も、制度開始から2年目で大幅に増えており、医療機関・薬局への指導は4681件(前年度比1412件増)、医師・薬剤師への指導は5345人(同1495人増)となった。
一方、「集団的個別指導」(対医療機関)は、厚生省が「個別指導」を重視する姿勢に切り換えた98年度を境に少なくなっており、99年度は前年度より125件増えたものの、9421件と2年連続で1万件を下回った。
指導・監査による返還額は98年度より6億6839万円増え、総額65億1947万円にのぼった。内訳は「指導」によるものが31億2465万円と4年ぶりに30億円を超え、「監査」によるものも33億9481万円と97年度以降30億円を上回っている。指導・監査の結果、保険医療機関などの指定を取り消したのは、医科21件、歯科13件、薬局8件の計42件で、保険薬局の指定が取り消されたのは3年ぶり。取り消しの発端は保険者、医療機関従事者、患者などの通報が22件と過半数を超え、このほか、医療監視担当部局の情報など「その他」が18件、新聞報道が2件となった。
個別の事例をみると、福岡県の古賀第一病院が医師数の水増し請求などで指定を取り消され、99年度では最高額の8億7380万円を返還した。
訃報
津留 宏道氏(つる・ひろみち=元広島大歯学部長)17日午前2時40分、心不全のため広島市東区の病院で死去、71歳。大阪市出身。自宅は広島市東区上温品2の4の7。葬儀は19日に近親者で営み、年明けに歯学部歯科補綴学第一講座同門会が「偲ぶ会」を営む。
82年から4年間、広島大歯学部長。義歯研究の権威で、91年に中国文化賞を受賞した。
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